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ベーシックインカムとは(メリット・デメリット)~分かりやすく解説

べシックインカム-イメージベーシックインカム

コロナ危機やAIの発展による大量失業問題が予想される中、最低限の所得を補償するベーシックインカム(BI)が注目を集めています。

以前から世界各国で議論されながら現実味が薄いとされてきたBIですが、コロナ危機の下で、イギリスやスペインなど真剣に導入を検討する国が出てきました。

ベーシックインカムとは、どのようなものか、今、なぜ注目を集めるのか、分かりやすく解説します。

ベーシックインカムとは

ベーシックインカム(BI)とは政府から、国民全員に、毎月「必要 最低限の生活が可能な金額」を無条件かつ一律に給付する制度のことです。
ユニバーサルベーシックインカム(UBI)とも呼ばれます。

わかりやすくまとめると

  • 国民全員にベーシックインカム-イメージ
  • 最低限の生活できるだけのお金を
  • 無条件で
  • 定期的に生涯にわたり
  • 直接支給する

つまり、誰でも無条件に、毎月5~15万円程度のお金をもらえるということです。

国民全員ということは、年齢や所得の制限、働いている、働いていない、働く意識がない等の区別がありません。
また、申請の必要がありません。

前述の導入検討国については、イギリスはボリス・ジョンソン首相が新型コロナウイルスの感染拡大に伴う一時的な措置として検討したと報道されました。

スペインでは、ベーシックインカムを閣議で承認(2020年5月29日)し、各世帯が年間約120万円の所得補償が得られるとされていますが、恩恵を受けるのは85万世帯となっています。
スペインの世帯数は約1800万(2011年統計)なので、一部だけが対象と思われます。
報道では詳細が分かりませんが、低所得者が対象ではないでしょうか。

どちらの国もベーシックインカムを本格的に検討していますが、一時的だったり、対象者が限定的だったりと、本来のBIとは異なっています。

生活保護や失業保険等、他の社会保障制度はどうなるか?

ベーシックインカム導入の際には、既存の社会保障制度はどうなるのでしょうか。 年金-国保

既存の社会保障制度として、日本では、国民年金、生活保護、失業保険、年金、医療保険、介護保険をはじめ、様々な社会保障制度があります。

ベーシックインカムでは、基本的に、所得補償制度である国民年金、生活保護、失業保険を統合するという考えかたが一般的です。

しかし、現在の年金積立金はどうなるか、障害基礎年金や労災などは、といった課題があります。 また、医療保険や介護保険の自己負担割合等についての議論も生まれそうです。

ベーシックインカムが注目を集める理由

ベーシックインカムが注目を集める理由は大きく3つあると思います。
1.新型コロナウィルスの影響
2.AIの発達による大量失業が予想される
3.貧困と格差拡大の問題の是正が必要

新型コロナウィルスの影響

コロナウィルスベーシックインカムは、これまでも各国で議論されてきましたが、新型コロナウィルスの影響により、各国で経済的な打撃が大きくなっている中、再び注目されました。

地域によっては、落ち着きを見せている国もありますが、ワクチンが開発される時期は不透明で、第2波、第3波の感染拡大が懸念されると言われています。
新型コロナは長期化が予想され、終息したとしても再発の可能性もあり、以前のような日常が戻るのは難しいと思われます。

そのため、長期的にみても、経済的にダメージを受ける人が多いと予想されます。

AIの発達による大量失業が予想される

AI発展AIが人間の仕事を奪う時代が到来すると予想されています。

野村総合研究所と英国オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン準教授らの共同研究(2015年)で、「10~20年後の日本において、労働人口の約49%の職業が人工知能やロボットによって代替可能である」とする研究結果が発表されました。

このことは、企業が積極的に投資して人工知能やロボットの導入を進めれば、2025~2035年位には、日本の半分の労働者が転職または失業の状態になる可能性があるということを示しています。

また、代替可能な労働人口の比率は日本が49%、米国が47%、英国が35%と、日本は、米国は英国よりも強い影響を受けるとされています。

データや数字を扱う仕事、、単純なデスクワークや資料整理、文字入力、機械操作など、人よりもAIの方が正確にできる、作業効率が上がる仕事が代替可能な仕事とされています。

AIが人の代わりに全てをこなせる たとえば、データや数字を扱う仕事は、AIが得意としている仕事のひとつです。

計算や計測などの仕事は、人が行うよりもAIが行う方がオペレーション上のミスが少なく、その作業すべてをAIがまかなうことができます。

同様に、単純なデスクワークや資料整理、文字入力、機械操作などの定型業務も、AIに代替されやすいと考えられています。

また、近い将来、自動運転技術が実用化されるといわれています。

逆に創造的な仕事、複雑な判断を伴うような仕事は、AIが発展しても残る職業とされています。

野村総研とオックスフォード大の共同研究結果による、AIに代わられる可能性の高い100の職業の一部は以下です。 

電話営業員
タクシー運転手
宅配便配達員
一般事務員
医療事務員

受付業務
スーパー店員
不動産ブローカー
レジ係
CADオペレーター

自動車組立工
警備員
銀行窓口係
新聞配達員
倉庫作業員

タクシー運転手や一般事務員といった職業だけを見ても、多くの人が従事しており、かなりの影響があると思われます。

貧困と格差拡大の問題の是正が必要

日本における格差拡大の問題は、中低所得層における貧困化に起因しているとされています。
貧困化の状況を、相対的貧困率とジニ係数、生活保護世帯数から解説します。

相対的貧困率

日本における貧困層とは、その国や地域の水準の中で比較して、大多数よりも貧しい状態のことを指す「相対的貧困層」(※注)のことを指します。

厚生労働省が公表している相対的貧困率の算出方法から等価可処分所得の中央値の半分に満たない世帯と定義付けられています。
2015年時点では等価可処分所得の中央値は245万円であり、この半分の122万円未満の可処分所得(収入などから税金や社会保障費などを引いた金額)の世帯が相対的貧困層となります。

相対的貧困率の推移
厚生労働省生活基礎調査(2016年)のデータを元に作成

この相対的貧困層の割合は、1985年の12%から徐々に増え、2015年で15.7%となっています。2012年の値(16.1%)から減少していますが、可処分所得122万円の世帯がこれだけ多くなっているのです。

相対的貧困率等に関する調査分析結果(内閣府・総務省・厚生労働省 2015年)によると、65歳以上の高齢者、単身世帯や大人1人と子どもの世帯で相対的貧困率が高くなっています。

また世界をみると、OECDの発表(2017年)では、日本の相対的貧困率は先進国35カ国中7番目に高くなっています。

日本で相対的貧困理が高い理由は、①高齢化の進行 ②非正規雇用の増加 ③片親世帯(母子家庭と父子家庭)における貧困化が進展していることなどとされています。

ジニ係数

また、所得分配の不平等さを図る指標であるジニ係数が、1999年には0.472だったのが、2017年時点では0.5594に上昇しています。
ジニ係数は、0に近いほど公平に分配され、1に近いほど所得が狭い範囲に集中していることを表します。

生活保護世帯

生活保護世帯の推移
世帯類型別生活保護受給世帯数の年次推移(厚生労働省)のデータを元に作成


生活保護世帯数も年々増加しています。2008年頃から特に高齢者世帯の数が急増しています。

ベーシックインカムのメリット デメリット

ベーシックインカム

ベーシックインカムのメリット

デフレ脱却と景気回復

先進各国のデフレ不況の一因は消費不足にあります。
ベーシックインカムは家計の所得を引き上げ、購買力を高めます。そして、消費を増やせば企業の売り上げが増加し、それによって賃金も上昇し、失業の解消、景気回復につながります。

貧困の解消

ベーシックインカムは最低所得を保障するものなので、貧困の解消には極めて高い効果があります。
真面目に働いているにも関わらず貧困な生活を送っていワーキングプアの人達にとって、賃金に上乗せして支給されると生活は大きく改善するはずです。

ブラック企業の根絶とチャレンジ可能な社会の実現

現在の社会システムでは、生活するために、止むを得ず過酷な労働環境の職場で働く労働者も少なくありません。
最低所得が保障されるなら、ブラックな企業に無理をして就職する必要がなくなり、低賃金でも本当にしたい職種に就けるチャンスが増え、これまでできなかったチャレンジが可能になります。

社会保障制度のシンプル化と行政事ストの削減

例えば、生活保護制度は、受給までに、多くの審査コストと時間を要し、制度を維持するために、多くのコストと労力が必要です。
様々な社会保障制度を簡素化すれば、それらの運用コストが削減されます。

資源の効率的利用(過剰生産を減らす)

現代社会では、雇用やお金の循環を維持するため、大量生産・大量消費を過剰に拡大せざるを得ない部分があります。
ベーシックインカムを実施すれば、すべての人に所得を与えるためだけに大量生産・大量消費して雇用を作り出す必要はなくなります。これは資源の利用効率を高めることにつながります。

人口増加の効果

日本では少子化が深刻な問題となっています。

少子化には様々な要因がありますが、その一つに「貧困化」が挙げられます。所得が低く結婚を諦める人が少なくありません。

また、子育て世代の賃金が低いと結婚後、子供を持たない、あるいは子供の数を意図して抑える可能性があります。

ベーシックインカムは、大人だけではなく、子供にも支給されますから、子供の養育費をまかなうことができます。
所得が低さで子供を諦めていた世帯も安心して子供を持つことが可能となります。

デメリット(反対論の理由)

財源の捻出や他の社会保障制度との調整が難しい

反対の専門家は、財源確保のための増税等へ国民の賛同を得るのが難しいと主張しています。

一方、ベーシックインカムに賛成の専門家は、生活保護や失業給付等の公費負担がなくなることや、所得税の控除の廃止、通貨の発行、金融資産への課税などによって、財源の確保は可能だと主張しています。

社会保障水準、福祉水準が低下する

他の社会保障制度をどこまで統合するかにもよって状況が異なりますが、ベーシックインカムの導入によって、社会保障水準、福祉水準の低下を懸念する意見もあります。

金銭目的のための子づくり、育児放棄、育児怠慢といった問題が起こり得る

子供にも等しく現金が給付されるため、より多くの給付金を得るために子供の数を増やす人が現れるとの意見。

働く人が減り経済が衰退する

現金給付により、働く意欲がなくなり、働く人が減るという意見。

自分の生活が犠牲になる

働かない者を養うために自分が貧乏になるという意見。

お金を支給しても貯蓄されるだけ

多くのお金が貯蓄に回ると経済が活性化しないとの意見。

富裕層による資本の独占につながる

AI等の発展により技術的失業が増加。多くの人がBIだけで生活するようになると、一部のエリート層だけが仕事に就き、資本を独占する資本家にお金が集まるとの意見。

ベーシックインカムとは まとめ

日本では、ベーシックインカム導入の具体的な議論は、あまり盛り上がっておらず、現状では、まだ実現性の可能性はほとんどないように思います。

ただ、新型コロナウイルスの感染拡大により、現金10万円の一律給付という、これまで予想もされなかった施策が実現しました。

私個人としては、新型コロナウイルス感染の長期化やAIの発達による大量失業問題が現実味を帯びている中、近い将来、ベーシックインカム導入は必要不可欠なものになると思います。
そのためには、導入の上での課題解決に向けた議論を今から行っていくことが必要ではないでしょうか。

こちらの記事もご覧ください。
ベーシックインカムの財源について考える
ベーシックインカム~海外の実例
ベーシックインカムに対する著名人の意見や発言のまとめ

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