当ブログが違法なコピーサイト(パクリサイト)の被害にあってしまいました。
コピーサイトは、RSS機能を使って、記事を丸ごと無断転載し、新着記事として紹介するサイトでした。
たまたまサーチコンソールの外部リンクを見ていて発見しました。
気付いた時には記事が50以上、丸ごと転載されていました。
最終的にはサーバー管理会社に「著作物等の送信防止措置」を申請し、違法サイト運営者が自主的にサイトを閉鎖したのですが、そこに至るまでの経緯や色々試したことをお伝えします。
コピーサイト(パクリサイト)について
自動投稿で無断転載
コピーサイトは、ウエブサイト情報局(ideamart1.xsrv.jp/wp1/)というサイトです。
発見時、2021年の11月以降、半年近くにわたって、私のサイトの50以上の記事が全文、無断掲載されていました。
サーチコンソールで外部リンクを確認している際にみつけました。
私が新規投稿すると、30分前後経つと自動的に投稿されていました。
恐らくRSS機能を使って自動投稿する仕組みを使っていたと思います。
記事が丸ごとコピーされているので、Googleから重複記事のペナルティを受ける可能性もあります。
サイトの記事は、全て無断転載。
私のサイトを含め3サイトからの記事を転載していましたが、アイキャッチ画像がないものがほとんどで、サイトの体裁を整えているものの、ぱっと見でおかしなサイトであることがわかります。
私のサイトのタグ一覧は以下のような感じ。
アイキャッチ画像はほとんどが空になっています。
コピーサイトの個別の記事の掲載例です。
以下は記事の一部ですが、全文が表示され、画像も転載されています。
サテライトサイトとして運営か?
コピーサイトは、人気のあるサイトを無断盗用するというイメージがあり、私のサイトのようなあまり目立たないサイトがなぜ目を付けられたか不思議でした。
今回、私以外にも2つのサイトが被害にあっていましたが、それなりに更新されている以外に特に共通点はありませんでした。
コピーサイトのヘッダーにリンクがあるのでクリックすると、「動画まとめサイト」という全く別のURLに飛びました。
そこには広告スペースの貼る位置などが表示され、URLにもtest.***とあり、収益化サイトの試験的なものかと思われました。
コピーサイトについて調べる
初期ドメインを使用
コピーサイトは、エックスサーバーの初期ドメインのサブディレクトリを使用していました。
ドメインに「xsrv」という文字列が含まれており、一目でエックスサーバーを利用していることが分かります。
初期ドメインは通常、ブログ運営には使いませんが、ドメインパワーが強いです。
Domain Authority Checkerというドメインパワーチェックツールで、コピーサイトのドメインパワーを調べてみると、高い数値を示していました。
初期ドメインのGoogle的評価はよく分かりませんが、ドメインパワーの計測では「強い」という結果が出ており、そのまま通用するならば、サテライトサイトにはうってつけかもしれません。
ちなみに、以前、私がロリポップの初期ドメインを取得した直後の数値です。
取得直後でも強いですね。
管理者情報を調べる
ブログの情報では、問い合わせフォームから抗議のメールを出して解決した例がありましたが、コピーサイトには、お問合わせフォームなどはありませんでした。
まあ、確信犯的にやっているので、付けるはずもありませんが。
それで、何かできることはないか、色々と調べました。
また、以下のサイトで、ドメインからIPアドレスなど運営者の情報を調べました。
IPアドレスは、後述のアクセスブロックを試みるために使用しました。
今回は、コピーサイトが初期ドメインだったので必要がなかったですが、サーバー会社も調べられます。
ブログランキングに掲載されていた
また、コピーサイトは2つのブログランキングサイトに登録しており、パクリ記事が投稿されるとランキングサイトにも表示されていました。
以下は「にほんブログ村」です。
コピーサイト(パクリサイト)への対応
「なんで被害を受けた自分がこんな面倒な事をしなければならないか」と憤慨しながら、いろいろと対応しました。
WordPressのRSS設定を変更
Web サイトの最新情報を配信するRSS フィード。
コピーサイトはこの機能を利用して、記事を自動投稿する仕組みを使っていたと思われます。
WordPressのこの機能はデフォルトでRSS フィードの発信内容が「全文表示」になっています。
私のサイトでも「全文表示」のままになっていました。
そのため50以上の記事が全文パクられていました。
今回、RSS フィードの設定が変えられることを知り、変更しました。
WordPress管理画面
設定 >表示設定 >
「フィードの各投稿に含める内容」を「全文表示」⇒「抜粋表示」に変更
対策は十分ではないですが、パクられるのは、タイトルと抜粋表示のみとなります。
既に全文が転載された記事は更新しても、転載先で抜粋表示にはなりません。
他の被害サイト運営者に連絡
コピーサイトには、私のの他2つのサイトが被害を受けていました。
うち1つのサイトは私同様、全文をパクられ、もう一つは抜粋表示になっていました。
それらのサイトは更新が続いており、お問合せフォームがあったので、コピーサイトの存在について知らせました。
どちらのサイトも気付いていなかったようで、「できる対策をやる」とのことでした。
アクセスブロックを試みる
IPアドレスからアクセスブロックを試みましたが、結果的に自動投稿されるのを防ぐことはできませんでした。
IPアドレスからアクセスブロックを試みる
該当するIPアドレスからのアクセスを拒否すれば自動転載を防ぐことができると考え、htaccessファイルを使って、コピーサイトのIPアドレスからのアクセスブロックを試みました。
aguse.jpで調べたIPアドレスを拒否するコードをhtaccessファイルに追加しました。
CMANというサイトの「アクセス元IPアドレス制限(拒否/許可)作成」では、IPアドレスやURLを入力すると、追加するコードを生成してくれるので便利です。
例えば、「111.222.111.222」というIPアドレスの場合は以下のようなコードになります。
# AccessControl IP/HOST
order allow,deny
allow from all
deny from 111.222.111.222
その後、実際に投稿してみましたが、それまでと同様、自動転載されてしまいました。
以下のように画像は表示されなくなったので、コードは働いているようですが、サーバーのログで該当のURLを検索してみると、様々なIPアドレスからのアクセスがあるようでした。
画像が表示されなくなったのは、転載された記事の画像は私のサイト(サーバー)の画像を読み込んでいるためです。
結果的に画像が表示されなくなっただけで、対策にはなりませんでした。
プラグイン「FeedWordPress」について
WordPessでRSSやAtom のフィード情報から自動的に投稿できるプラグイン「FeedWordPress」を使ったコピーサイトがあり、以下のブログなどで対策について紹介している記事がありました。
ブログ丸パクリプラグイン FeedWordPress からのアクセスを拒否するために .htaccess を設定し、自分のサイトを守ろう
このサイトで解説しているようにサーバーのログを確認したところ、私の場合は「FeedWordPress」を使っている形跡はありませんでした。
コピーサイトに警告文を掲載
投稿した記事が転載されるのを利用して、コピーサイトのタイトルやアイキャッチ画像等に警告文のような内容が掲載されるようにしました。
アイキャッチ画像は、転載元の記事のアイキャッチ画像は反映されず、なぜか、記事中のYoutubeのサムネが反映されていたので、短いYouTube動画を記事中に埋め込みました。
実際に以下のように表示されました。
その後、特にコピーサイト上の変化はありませんでした。
たぶん運営者はこのようなことをたくさんやっていて、記事を見ていないか、見たとしても興味もないのだと思いました。
記事が転載されないよう投稿時に工夫
新規投稿の際には、記事が転載されないよう、一工夫しました。
これによって、コピーサイトでは、何も書かれていない記事が新規投稿されました。
以下のような手順です。
- 「下書き」などタイトルを適当に付け、記事本文は空、URLも適当で投稿(実際の記事は別の場所に保存)
その際にその記事の「Noindex」にチェック。(当サイトのテーマCocoonでは、記事ごとにNoindexを付けられます) - コピーサイトに空の記事が転載されたのを確認
- タイトル、記事本文、URLを変更。「Noindex」のチェックを外し、投稿
SEO的はどうかなと思いますが、実際に試してみると、記事を更新してもコピーサイトには反映されないのを利用しました。
ただ、私もそうでしたが、「にほんブログ村」などのブログランキングには、空の投稿とURL変更後の正式な投稿の両方が掲載されてしまいます。
各ブログランキングでは、記事の管理で削除もできるはずなので、空の投稿は削除しましょう。
Googleに通報(DMCA侵害申し立て)
次にGoogle の検索で引っ掛からないようにindex の削除依頼をしました。
コピーサイトが検索で上位表示される可能性があるからです。
また、重複記事としてGoogleに認識されるとペナルティを受ける可能性があります。
SEO的な影響をなくすことができますが、コピーサイト自体はなくなりません。
DMCAとは
引用:ナイルのSEO相談室
DMCAとは、デジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act)の略称であり、2000年10月にアメリカ合衆国で施行された連邦法です。Google、Facebookなど、世界的なインターネット企業の多くが米国法人であるため、それらを規制するこの法律がインターネット上の著作権に関する事実上の基準となっています。
削除依頼は、最初は50数記事をいっぺんに申請したところ、認められませんでした。
その後、いくつかのブログ等を参考にしながら、一記事ずつ申請したところ認められました。
そして、少しずつ全ての記事を申請しようと思いましたが、申請しているうちに後述の「送信防止請求」が認められ、サイトが閉鎖されたので、途中で止めました。
DMCA侵害申し立てについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
サーバー会社に送信防止措置を依頼
コピーサイトの運営者と連絡を取る術がなく、抜粋表示にしたとはいえ、いつまでも転載され続けるのは気持ち悪いので、サーバー会社に「送信防止措置」の依頼をしました。
「プロバイダ責任制限法」第3条に基づき定められた手続きです。
サイト上にて、権利を侵害(名誉権、プライバシー権、著作権、商標権など)する情報が発信された場合、権利を侵害された者が該当侵害情報の削除を申し出ることができます。
今回は「著作権」の侵害をうけたとして、エックスサーバーに必要な書類を郵送しました。
必要な書類は、「プロバイダ責任制限法」に基づく所定の様式の申請書と、問題箇所に関する資料です。
私は海外に住んでいて郵送がたいへんなので、PDFをメールで送信できないか問い合わせたところ、郵送でなければ受付できないとのことでした。
日本にいる知り合いに協力してもらい郵送しました。
結果、郵送後間もなく、以下のような返信がきて、サイトは閉鎖されました。
上記サイトについて、弊社から発信者へ送信防止措置について照会を行いましたところ、発信者が自主的に該当記事を非表示としました。弊社においても、非表示を確認いたしましたので通知いたします。
送信防止措置の依頼について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
同一犯!同様のコピーサイトを見付ける
今回の件が、コピーサイトの閉鎖により解決に至った後、同じ運営者による似たようなサイトを見付けました。
オーディオ速報(colorfulbox1.cfbx.jp/audio/)というサイトです。
同様の手口で、同じく3つのサイトが全文、無断転載されていました。
被害を受けているサイトの運営者にこのサイトのことを伝えました。
今のところ、このサイトは無断転載を続けています。
まとめ
コピーサイトの被害は、予想外の出来事でした。
サイトは堂々と存在しているのに相手のことが分からず、歯がゆい思いをしました。対応も面倒な事が多いです。
めでたくコピーサイトは閉鎖されたものの、コピーサイトの運営者はお咎めもなく、被害者は手間ばかりかかった、やられ損という感じです。
運営者はモラルもなく、軽い気持ちでやっていると思いますが、サイトの大小に関わらず、被害者にとっては大変気持ちの悪いもので、SEO的に実害もあると思います。
今回、被害を受けた別のサイトの方とメールをやりとりしましたが、コピーサイトが閉鎖された時、「これで安心してブログを更新できる」と書いていたのが印象的でした。
コピーサイトの被害を受けた時、主にやるべきことは以下だと思います。
- WordPressのRSS設定を変更
- 他の被害サイトがあれば運営者に通報
- アクセスブロックなど記事が転載されないような対策をする
- コピーサイトに警告文を掲載するなどして様子を見る
- Googleに通報(DMCA侵害申し立て)
- サーバー会社に送信防止措置を依頼
やはり、根本的に解決するには、面倒ですが、最後の「送信防止措置」の依頼になると思います。